月城まりあの手記

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二枚の葉

かなり悩んだんですが、書くことにしてみました。
泰葉の「序章」です。
一旦掲載したんですが、致命的矛盾点を解消して再掲です。

泰葉は、何度か書いてきたようにもともとはTRPG版の卒業生キャラクターでした。それがPBWでは高校生として、違ったジョブ構成で活動しています。
他の子達にはない誕生背景を持っている泰葉の「序章」をどう描くか、TRPG版の泰葉とPBWの泰葉とをどう説明するか……。
同一人物だとするか、別人だとするか、どっちかがどっちかの妄想だとするか……などなど悩んできていたんですが、いろいろ考えた挙句「実際の泰葉は、やっぱりPBWで活躍しているほうだろうな。」ということになったので、そちらでのSSです。

他の子達とはちょっと変わった雰囲気のSSになりますが、お楽しみ頂ければ幸いです。
本文は追記からどうぞ。


※2010年10月3日 挿絵が付きました♪(by Mouさん)



カタカタカタ……
カタカタ、カタカタタン、タンッ。

「……ふぅ。今日のblog記事書~けた★」

達成感いっぱいに、私はカフェの椅子の上で軽くのびをした。
今日はお天気も絶好調、おいしいスイーツも食べたし図書館にも行ったし、ウィンドウショッピングもしたし、実に良い一日でした♪
blogの記事更新が正常に終わったのを見届け、ノートパソコンのシャットダウン。
外出先ではこまめにバッテリーを節約しないとね。
それから店員さんに見送られながら、いつものカフェを後に帰途につく。その途中で、私は見慣れた後姿を見つけた。

「あーっ、理人さ~ん!やーっほーぅ!!」
「……何の用だ、泰葉。」
「んふふ~♪偶然見つけてびっくりですー。今帰り道なんですか~?」
「そうだ……。」
「おぉ、じゃあ一緒ですね!あたしも丁度カフェから出てきたんですよ~ぅ。」
「……かふぇ…とは、確か外出時の休憩に使う茶店だったか。そんなに遠くまで一人で出かけていたのか?」
「いやいや、んとですね……。」

カフェって、なんだ?<

理人さんは知的なんだけど現代に不慣れな土蜘蛛さんだから、時々こうして説明してあげないとずれて覚えていることもあるんですよね。幸か不幸か、私は泰花や香月さん達と比べるとごく普通の女子高生なので現代のものにはちょっとは詳しい(はず)。だから、《能力者》としては新米の私は熟練してる理人さんからいっぱい教えてもらって、《現代人》としては新米の理人さんに(熟練してるかどうかは分からないけど)私がいっぱい教えてあげる、っていう関係です。

「……で、私はカフェで日記を書いていたんですよ~ぅ。面白いですよ?読み返すと本当にいろんなことがあったなーって。」

思えば、今日で私が銀誓館学園に転校してきてから、まだ1週間しか経っていません。でもその短い間に本当にいろんなことがありました。

『それでは、これからは同じ《能力者》として、どうぞよろしくお願い致します。』
『……解せぬことがあれば問うが良い…。私も、泰花と共にそなたの力となろう……。』

私には関係ない世界だと思っていたものが、一気に目の前にやってきたあの日。

『うっふふ♪よろしくお願いしまーすっ!』

元気良く挨拶をした、初めて会う《能力者》のみんなのいる結社でのこと。
ゴーストタウンにもいっぱい探索に行きました。長崎から岐阜から、あちこち出かけたっけ。
それから、岐阜のほうのゴーストタウンではこんなことも――。

          *          *

学園の図書館にある学生名簿は、完璧じゃない。そう気づいたのは比較的最近のこと。
過去に在籍した能力者から現在在籍中の子、引退した先輩まで、「全員」の名前が収録されているはずの名簿は、ところどころ欠番があるのだ。
《能力者》の学籍番号に欠番があるはずが無い。つまり、何らかの理由でいなかったことにされている《能力者》がいるのだ。
そして私は、理人さんと二人だけで出かけたゴーストタウンで、たぶんそのうちの一人であろう女性と出会った。

『きゃっ……!?』
『……下がれ、泰葉。』

思わずしゃがみこんだ私の上で、理人さんの赤手とリビングデッドの腐った腕が激突した。ひた、と流れ落ちてきた数粒の紅い雫に、はっと我に返って背筋が凍る。
息を呑んで固まってしまった私に、リビングデッドを薙ぎ倒した理人さんが声をかけてくれた。

『問題ない……。泰葉が大事に至らなくて良かった。』
『うぅ、ありがとうございます。……ごめんなさい。』
『……謝る事ではない。経験を積めば自ずと感覚も掴めて来る。今は経験が足りぬのみ…。』

理人さんは、初対面の時こそ、鋭い目つきとほとんど自分からは話さないのとで少し怖い印象を受けたけれど、本当はただ口下手で、とても心温かな人だ。今も半ば涙目の私に手を伸べ、立ち上がらせてくれた。

『でも、今はもう帰ったほうがいいですよね。またみんながちゃんと来られる時に誘って……。』
『……私もそなたも負傷しているゆえ、これ以上は無謀だ。』

帰りましょう、と言いかけた時だった。

――ガサッ。

『え……』
『走れ!』

わたしが物音に気づくのと、理人さんが叫ぶのとは同時だった。でも私は状況が飲み込めない。走れって言われても……?

『え、ちょ……嘘…!?』

ゴーストタウンの中で……

一瞬の躊躇いが、まずかった。
ほんの僅か、私が足を止めて疑問に思っているうちに、辺りは茂みから現れた地縛霊やリビングデッドに囲まれてしまっていた。
現状、私には回復アビリティが無く、理人さんも既に使えるだけの森羅呼吸法を使い切ってしまっていた。おまけに二人して防具は損傷し、浅くない傷も負っている。このままで戦うだけでもかなりの不利だというのに、私は逃げ出すチャンスを台無しにしてしまった。このままではきっと理人さんは、私を庇いながら戦おうとしてしまう……その負担が半端じゃなく大きいことは、簡単に想像できたのに。

『ご、ごめんなさい……。』
『……!』

私の唇が震えて、謝罪の言葉が漏れた瞬間、理人さんの赤手が動いた。鈍い打撲音がして、少し理人さんの体が退く。

『……油断するな…。隙を突いてここから離脱する。』
『はいっ……!』

私は、震える両手に何とか力をこめて、詠唱定規を握り締めた。
けれども、限界はすぐに近づいてきた。もともと残りアビリティも少ないせいで威力のある攻撃が出来ない上、敵は今しがた現れたばかりだから潤沢に残りアビリティがある。さらに回復手段の無い私達に対し、敵は少なくとも自己回復が出来た。
もう何度目になるか、一度膝を突いた理人さんが再び立ち上がった時だった。

『ヒーリングファンガス~♪』

ぽふん、と何か白くて柔らかなものが理人さんの体に当たった。ふわり、と一気に負傷が癒されていく。
一瞬、理人さんさえもがその声のしたほうを見やった。そこに居たのは、髪の長い女の人――。

『八卦迷宮陣!』

声を辿ったリビングデッドが次々に動き出した時、今度は聞きなれたアビリティ名が聞こえてきた。私が使う、除霊建築士のアビリティだ。
多くのリビングデッドや地縛霊が、迷宮に囚われて足を止める。
これは一体……?

『ほーら、そこの子!だめでしょ、土蜘蛛さんだけ頑張ってちゃ。』
『あ、はいっ!!』

言われてはたと我に返ると、1体のリビングデッドがふらつきながらも此方へ武器を振り上げたところだった。
慌てて詠唱定規を握りなおし、渾身の一撃を繰り出すべく全力で叩きつける。
ごすっ、と鈍い音がした。どうにか当たったようだ。
それから私は無我夢中で女性と理人さんと一緒にゴースト達を倒し、やっとの思いでゴーストタウンを脱出した。

『や~、ふたりともよく頑張りました!!あぶなかったねー!?』
『本当に、ありがとうございました……!』

おどけたように肩をすくめて笑う女性に、私は思い切り頭を下げた。だって窮地を救ってくれた恩人ですもの!

『やだやだ、顔上げて~!?偶然私も近くに居たから助けられただけだしね。……あ、そうそう。』

彼女は豊かなS字ウェーブのロングヘアを揺らしながら困ったように笑って両手を振り、それから思い出したように動きを止めると、ふわりと微笑んで言った。

『私、ファンガス共生者と除霊建築士の月代泰葉です。銀誓館学園第一期卒業生なの。よろしくね、可愛い後輩さん達♪』
『え……あ、はい。あの……えぇ!?』
『あら?どうしたの?』

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素直に頷きかけてびっくりした私と、恐らく後ろに立って似たような反応を返していたであろう理人さんとを交互に見ながら、"泰葉"さんは不思議そうにたずねた。

『あのあの……私も、月代泰葉です。除霊建築士と、呪言士の……。』
『……あら、そうなのっ!?』

私の自己紹介に、ワンテンポ遅れて大きな叫びが響いた。
同じS字ウェーブのロングヘア、同じ除霊建築士、同じ名前……さらに自己紹介してみれば、生まれた日も育ちも一緒だった。

『運命の糸って、すごいんですね……。』
『ほんとねー。びっくりしちゃった。いやはや~。』

二人して、良く似たポーズで驚く。ねぇ、ほんとにこんなそっくりさんって、アリ?
そんなことを考えていた時、後ろから理人さんの声がした。

『……学園の能力者名簿で月代泰葉といえば、在学中のこの者しか居ない。そなたは何者だ?』
『あ、そっか……そうだ。私も、卒業生の月代泰葉さんって名簿で見たこと無い……。』

すると、"泰葉"さんは少し視線を外して、困ったように微笑んだ。

『うーん、一応ちゃんと学園からも《能力者》だって認められてはいるんだけど、イグニッションカードも使いこなしているんだけども……ちょっとね。でも、私の様に学園の名簿一覧には名前が無くても銀誓館学園という組織に属する《能力者》として活動している人達はいっぱいいるわ。それにしても、まさかこんなとこであなたに会うなんてびっくりよ、泰葉。』
『へ、それはどういう……?』
『んふふ、今はまだヒ・ミ・ツ♪……でも、別に怪しい訳じゃないから安心してね。困ったら頼って?私だってあんまり熟練してるわけじゃないけど、可愛い泰葉や後輩くん達のためなら何だって頑張っちゃうから!』

          *          *

あの時出会った、"卒業生の泰葉"さんとは、いまだに連絡を取り合っている。
まるで、もう一人の私みたいな不思議な人。ひょっとして、その辺りも彼女の言っていた「ちょっとね」と関係あるんだろうか……?

「……泰葉?」
「へ?あ、はい、なんでしょう??」
「いや……途中から黙ってしまったゆえ、何かあったかと思った。」

うぐっ!?あたしが途中から考え事にふけってたせいだ!?

「あうっ、ごめんなさい。ちょっとね、いろいろあったよなぁ~って考えちゃって。理人さんといた時に会った、もう一人の泰葉さんとかっ。」
「……ああ、あの者か…。」

ふと、理人さんの足が止まる。もう男子寮の前だった。

「あの者といると、そなたが分身したかのように思える……。」
「あははは!何それっ!でも、分かるかも。私も本当にそっくりでびっくりしちゃうもん。」

これからも、きっとまだまだ不思議な出会いや経験をしていくんだろうな。
どんな高校生活になるのか、ちょっと怖いけど、すごく楽しみです。

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