月城まりあの手記

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聖杯戦争

昨日の激戦の中のうちの子達+私の様子を書き出してみようと思い立ったので、書いてみました。

今回は実力戦と同時に頭脳戦でもあった決戦。戦力不足と作戦の詰めの甘さからくる苦戦の為に、救護要員だった泰葉まで後衛として戦地に赴きました。(私としては、実はちょっと……いえだいぶ、不本意な初陣です。)
死傷者の多い激戦であったわけですが、うちの子達にも結構しんどい戦いだったようです。勿論、私にも酷くしんどい決戦でした。
その思いとか、雰囲気とか、上手く出てればいいんですが……。



――朝、午前8時50分。

「では、行って参ります。」
「泰花さんも理人さんも、どうかお気をつけて。それじゃ、雪姫さんのとこに行ってきます。」
「……皆の武運を祈る。私は頼子と合流後、逆侵攻阻止へ回る。」
「みんな、気をつけてね!あたし、まりあと一緒に救護所で頑張るからっ!」

それぞれがイグニッションを済ませ、足早に立ち去っていく。その後姿を「救護」の腕章をつけた泰葉と私は手を振って見送った。

「……ふぅ、いっちゃったね。」
「そうね。」

泰葉が見送ったままの姿勢で呟くのに短い相槌で答えた私は、早速ノートパソコンを起動した。今回は実力戦のみならず頭脳戦でもある……現場で如何に迅速に決戦の情報を処理して作戦行動に反映できるかが肝要だと思ったから。
けれど、そんな私の態度を泰葉は快く思わなかったらしい。些か憮然とした面持ちでこちらを振り返って言う。

「そうねって、それだけ?」
「ああ、他意はないの。でも感傷に浸ってないで早いところ情報を整理して作戦行動の指示が出せるようにしてあげないと。」

救護要員の泰葉と違って、私が救護所にいるのは泰花達に次の戦場への指示を出すため。一般人である以上戦場に立つことは敵わないので、戦場に近いながらも安全が比較的保証されているこの場所を私の拠点にしているのだ。この方針は泰花と私が初めて参戦した決戦<大いなる災い>から一貫して変わらない。これ以上遠くてもこれ以上近くても適切な情報処理と指示が出来ないように思うのだ。

「だから早いところ準備しておかないと、と思って。特に激戦になるかもしれないんだもの。いつも以上にちゃんと準備しないとね。」
「……ふうん。」

表情を和らげないまま溜息をついて、泰葉は救護所の奥へ入っていった。

(……私、冷たかったのかな?)

その背を見やりながら、私は刹那そんなことを考えた。けれども次の瞬間には思考回路から消去して戦況の把握に努めるべく指先をキーボードに滑らした。

この決戦について、私は初めて、昨日たっぷりと時間をかけて覚悟を決めた。私達4人にとっての勝利よりも「銀誓館学園」としての勝利を――仮令、我が子達から犠牲が出ようとも。
芯の強い子達ばかりだから、きっと泰花も香月さんも理人さんも今回の決戦については並々ならぬ決意を持って臨んでいるはずだ。特に、うちの子達の中では戦場慣れしている理人さんなら、私よりも冷静に本来の目的達成のための行動をとっていくだろう事も簡単に予想できた。
ならば私が中途半端な覚悟しかできていなければ、その誇りを傷つけてしまう。私が感情で無理に保護すれば、生き残ったところで良い思いはしないどころかこの先永く残る傷を与えかねないのかも知れないと、そう思ったのだ。
そうは言っても、それを実際に行動に移すのは難しかった。半日近くかけて悩み、漸く意を固めたのは夜もすっかりふけた頃だった。
ただ、一度意を決してしまえばそのあとはそう苦しくはなかった。現に今、私自身でも驚くほど冷静なのだ。今朝の後姿が、あの微笑が最期かも知れないと思っても、後悔の念は無かったし怖いとも思わなかった。

コマンダーからの指示や各ポジションからの推奨侵攻先一覧を一通り確認した後、再度顔を上げて泰葉を探した。けれどどこか奥の見えない部屋にでもいるのか、姿が見つからない。

「……ああ、泰葉も今回は戦闘員として考えるか。」

誰にとも無く呟いて、私はまたモニタに視線を移した。


          *          *


――午後。時刻は13時30分。
今回も我が子達のうちで最も早く救護所へ搬送されてきたのは理人さんだった。逆侵攻阻止の為に過酷な環境下での連戦を重ねていた彼は、手馴れた救護員も直視を躊躇う程の傷を負っていた。それでも自身の下した指示について後悔の念が沸かないことに、私は改めて驚いた。

「……まりあって、変だよ。」
「あら、どうして?」
「だって……なんで、顔色も変えずにいられるの……?」

理人さんの体に応急処置をしつつ包帯を巻く泰葉の声は、明らかに震えていた。尋ねた私への返事の語尾は、詰まって途切れそうなほど微か。流石に私もつられそうになりきゅっと唇を噛んだ。

「……決めたから。理人さんも泰花も香月さんも、学園のみんなも、相応の強い決意をしているから、指示を出す私がそれを邪魔しちゃいけないから。」

やっと、気を落ち着けて答える。それはむしろ、自分に言い聞かせて改めて覚悟を思い出させるためだった。泰葉の応えは無かった。


          *          *


――昼下がり。時刻は15時丁度。
戦況は此方に不利だった。原因は対策の詰めの甘さ。重傷者の人数が予想を大きく上回った為に戦力が大きく不足してきている上、逆侵攻対策の戦力配分の誤りが重なった為だ。さらにそこへ苦渋の二択が用意された――戦争敗北の危機を承知で巡礼士と王子団十郎を救出するか、「銀誓館学園」としての勝利の為に彼らの救出を諦めるか。

救護の喧騒と学園勢力の不利を知って騒めく救護所の中、理人さんのベッドの隣でモニタ上に広がる作戦概要を見つめながら黙している私を、泰葉が心配そうに覗きこんだ。

「まりあ……?」

その声とほぼ同時に、ベッドで動く気配。

「…………戦線へ、戻ろう…」

言い終わるかどうかのところで、ばこん!という大きな鈍い音。泰葉が絶句したまま、みるみるその表情を驚きで満たしていく。
彼の頭を殴ったのは、他ならぬ私だった。モニタに視線を落としたままの姿勢で、右手だけが拳を形作っていた。そしてそのまま視線だけで泰葉を見、彼女が何か言おうとするより早く言葉を紡ぐ。

「重傷者が戦場に出たところで邪魔なだけよ。大人しくしてなさい理人。代わりに泰葉、あなた参戦なさい。装備は全てチェック済み、そのままで何ら問題ないわ。速やかにイグニッションしたら後衛として【12】へ。応援の手配は間に合わない可能性が大きい。常時本隊に同行なさい。いいわね?」

私には理人さんにも泰葉にも拒否権を与えるつもりは無かった。その気配を彼女も察したのだろう、一瞬呆然としたものの、僅かな間を置いてイグニッションし、全力で戦場へと駆けていった。
彼女の足音がする頃には、私はモニタに視線を落としたままで、既に次の戦場のことを検討していた。


          *          *


――それからの時間は、あっという間だった。けれども一日を振り返れば、酷く長い一日だったと思った。
この決戦も、最後に凱歌を歌ったのは銀誓館学園だった。巡礼士と王子団十郎を救出した上で聖杯を奪還し、揺り籠の君を打倒した……最悪の事態は無事回避された。
けれども死傷者の数は予想を大きく上回った。死亡97名、重症6055名±α。1ターンごとの作戦参加者はおよそ4000~6000名。

結局我が子達は全員生き延びた。香月さんと泰葉は無傷で帰還したし、泰花も最後の最後で負傷しただけで済んだ。それでもやはり泰花の知人で死者が出た上、彼らの所属結社でも重傷者がこれまでに無く多く出た。

一晩明けて振り返っても、私に後悔の念は無い。けれども、感情はこれ以上抑えられなかった。4人がそろった瞬間、私はその場で動けなくなるまで泣き崩れた。
今後、彼らの戦いはさらに激化するのだろう。それでも私は、我が子達が戦場に赴くことを選ぶなら……何度でも、今回のように振舞おうと思う。そう、何度でも……。
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